3月 9, 2012
新納 翔 連載#01
えんぞーさんとひょんな事から知り合いまして、これからinstagramに関して書かせていただく写真家の新納です。
これでニイロと読むんですが、最近iOS5.0になってからなんと普通に変換で出てくるみたいです。いやぁアップルの科学力さすがでございます。
普段は、一般的なフィルムカメラ、デジタル一眼等でドキュメンタリー系の写真を撮って発表しているのですが、そうした人間から見た視点というのもまた違ったものがあって面白いと思うのです。
僕自身instagramは写真史に刻んでもいいくらい衝撃的な事件だと思っているんですね。
なんせみんなが一気に写真家になってしまったわけですから、これは本当に凄い事なんです。
写真家なんて正式にそういう職業があるわけでもないので、往々にして他人が決める事だとは思いますが、僕からすれば
皆が知らず知らず写真家になっているんだと思います。
Instagramに関してはテクニック、アプリに関する事から、写真家から見て思う事、書きたいことは色々あるのですが、
今回は初回という事もありまして大人しく自己紹介をさせて頂きますね。ちょっと導入が長過ぎましたけど。
僕が写真を始めたのはちょうど2001年の事、時代的にはデジタルカメラもあるにはありましたが、まだフィルムが主流の時代でした。
デジタルなんて信用ならん、と多くの人が思っていて、一部の先進的な人がデジタルを使っていたように思います。
2003年頃、CONTAX645にデジバックを付けて撮影していた先輩カメラマンの謎めいた話が全く理解できず、なんとなくうなずいていたのを思い出しました。
おそらくフィルムからデジタルに変わる過渡期の手前だったんだと思います。仕事行くにも、リバーサルフィルムをたんもりもって、ポラ切って撮影していました。
背面液晶で確認なんて出来ないので、ラボから現像あがってくるまでドキドキものでした。まー、それがワクワク感でもあったのですけどね。
2001年、予備校生だった僕は、たまたま図書館で手にした奈良原一高さんの「人間の土地」という写真集を見て人生がすっかり変わってしまいました。
物理学を目指していたのに、その瞬間「写真家になる！」って思ってしまったのです。若気の至りってやつでしょうね。
大学は一応物理の方に進み、時空の歪みについて研究していましたが、どうにも僕の頭のほうが歪んでしまったようで４年次に中退し、本格的に写真の道に入りました。
僕は商業写真より、写真作家の道を選んでいたので、それから国内外にて個展を10回開催し、2009年から二年間、新宿にあるギャラリーニエプスという所の運営に携わりました。
初めは自分の行動範囲内でスナップ写真を撮っていましたが、だんだんと撮りたいものが見えて来て、初個展のテーマが国道一号線沿いの寂しい景色でした。
今でもこのシリーズは撮っていますが、普通の人が気づかない忘れ去られようとする景色を写真に収めているだと思います。
何を撮っているの？とよく聞かれますが、写真て言葉で説明するとなると結構厄介なものです。
プロとして、何故それを撮るのかという動機は言えますし、はっきりステートメントする事は特にここ最近海外では重要視されていますが、
それにしても写真は見せる事から始まりますからね。本当にいい写真は言葉なんていらないんですよ。
一番最近の作品だと、「山谷」というドヤ街を撮っているものがあります。簡単に言うとスラム街ですね。浅草に近い場所です。
ここ４年半、ずっと撮り続けています。僕自身海外で初めて紹介されたのもこのシリーズで、きっとリッチに思われているJapanにそういう
貧民街があるってこと自体ショッキングなのだとおもいます。
もしよければ私のホームページを見て頂けたらと思います。
あらかたの個展で使った写真はのせてあります。
それでは次回またお会いしましょう。
新納 翔 Niiro Sho
1982年横浜生まれ。早稲田大学応用物理学科中退。その後個展多数。
2011年北京にて個展「山谷」開催。写真集「山谷」（ZenFotoGallery）等。
http://nerorism.rojo.jp/
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